昆虫、特に甲虫を中心とした生き物ブログ。ビーチコーミングやガラスびん収集についても書いています。


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クロサワツブミズムシ

クロサワツブミズムシSatonius kurosawaiはちょっと変わった昆虫である。マニアックな甲虫屋ならば一度は憧れる虫だと思う。粘食亜目Myxophagaに属する微小な水生甲虫で、今のところ日本産のツブミズムシ科甲虫としては唯一の種である。1982年に佐藤正孝博士により記載され、種小名は発見者である黒澤良彦博士に献じられている。

水生甲虫とは言っても川や湖沼にいるわけではなく、浸み出す水で常に濡れているような岩盤の表面で生活している。体長は1.5mmほどと、非常に小さい。なかなか目につかない大きさであるのは確かだが、それにしても過去の記録は少ない。水の滴る岩場なんて全国の山にありそうなものだが、どこにでもいるような虫ではないらしい。これはちょっと不思議なことで、いる場所にはなぜいるのか、いそうな場所にいないのならばその制限要因はなんなのか、いつか知りたいと思っていた。なによりゴマ粒よりも小さいというその虫自体を、野外でじかに見てみたいと思っていた。しかし、なかなかその機会には恵まれずにいた。

ところが先日、思いがけず道が開けた。いつもお世話になっている学芸員さんが生息地の調査をされたことのある方で、先日その場所について話を聞くことができたのである。しかもスマホでGoogleマップを見ながら、「ここだよ」とピンポイントで場所まで教えて頂いた。訊いてみるものである。ついにあのサトニウスに会える! 重たいカメラを担いで、先日その場所に行ってみた。

ポイントはすぐに分かった。某県某所。一見なんてことのない道路わきにある。
f0205097_11583115.jpg

たしかに教科書通りの環境である。ここは河岸段丘の中段あたりで、上のほうから水が浸み出し、岩盤表面を濡らしている。年中水が途切れることがないらしいのは、表面についたコケや有機物の溜まり具合からして分かった。
カメラを用意して、岩の表面を凝視して数十秒、目的の虫はあっけなく見つかった。まあ場所を聞いて来たのだから当然なのだが、憧れの虫を目の当たりにできたのはやはり嬉しかった。
これがクロサワツブミズムシ。(以下、いずれもトリミングなし)
f0205097_11593105.jpg
f0205097_12002294.jpg

このようにびちゃびちゃに濡れている岩の表面にくっついている。常に体を水に浸した状態でいるのが好きなようだ。この日は気温も高く、ゆっくりと歩いているのも多い。

これはやらせ写真。ピンセットでつまみ上げて、濡れていない場所を歩かせてみた。短い触角が可愛い。
f0205097_12015666.jpg

よく見てみると、怪しげな平たい虫が少ないながらも見つかった。どうやらこれがクロサワツブミズムシの幼虫のようだ。これはやや小型で、若齢幼虫と思われる。
f0205097_12025053.jpg

体は非常に扁平で、ヒラタドロムシ類の幼虫を思わせる。腹部には細い突起物がずらりと並んでいて、いかにも水中の溶存酸素を取り込むのが得意そうな姿である(個人の感想です)。
この個体は少し大きい。
f0205097_12040620.jpg

撮影していると地元のおっちゃんが何人も通りかかり、そのたびに聞き取りをしたのだが、やはりこの崖は一年を通じて水が途切れることはないらしい。役所の人も通ったので訊いてみると、ここの段丘の上から岩盤の隙間を通じて地下水が浸み出てくるのだそうだ。

70代くらいのおじいちゃんの弁。
「ここは俺が子供の頃っからこんな感じだよ~。でも今日はまだ水が少ねえな、いつもはもっと流れてるんだけどな。
このあたりの岩場は昔は石切りをやっててな、こんな(手を広げる)でっかい石を背負った男が歩いてたよ。積んで塀にしたりかまどにしたりするんだな」

やはり地元民の話を聞くのは面白い。
クロサワツブミズムシにとって、この「年中途切れない水」が重要なのは分かるのだが、それにしてももっと記録があってもよさそうなものだ。生息環境の雰囲気は掴めたので、今後は似たような場所を見かけたら探してみたいと思っている。


帰宅後に調べてみると、本種の幼虫はボイテル博士が既に記載していたことを知った。PDF直リン。



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by isohaetori | 2017-02-22 12:40 | 昆虫採集・観察(陸) | Comments(0)