昆虫、特に甲虫を中心とした生き物ブログ。ビーチコーミングやガラスびん収集についても書いています。
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ナミビア旅行記(2) サバンナで虫探し
ナミビア旅行記(1)からの続きです。
2019年1月26日(土)
今日から本格的な虫探しが始まる。
まずは自炊用のガスコンロを求めて市内の店を回ったあと、東の町ゴバビスへと向かう。道はきちんと舗装されており、道幅は広くないものの運転しやすい。
時々車を降り、石を起こしたりアカシアの林を眺めたりして、軽く虫を探しながら移動する。

さて、アフリカと言えばゴミムシダマシ、ゴミムシダマシと言えばアフリカである。道路わきの石起こしで、こんな面白い姿のやつを発見した。Eurychoraという属だろう。蝋のような分泌物を出し、背面に砂やゴミをたくさん付着させている。ゴミダマオタクとしては、ぜひ見てみたかった種だ。

アカシアの茂みを歩いていると、ブーンという力強い羽音とともにフトタマムシが飛んだ。Sternocera orissaだ! 夢中で追いかけた。

感動に打ち震える。私はフトタマムシが大好きなのだ。まさかこの目で生きたフトタマを見る日が来るとは…。感無量である。このオリッサは線路沿いのアカシア林にたくさんいると判明した。これぞアフリカという雰囲気である。
ゴバビスに到着し、まずは燃料補給をする。ガソリンがとても高い。我々の車はディーゼルだが、リッターあたり100円以上する。それに燃費が悪いのでどんどんなくなる。車には燃料タンクが二つあり、合計140リットル入るが、残りが半分になる前に給油した方が良さそうだ。何しろ町と町の間の距離が長いので、ガス欠を起こすとたいへん面倒なことになるのである。
ロッジに向かう途中、第一キリンに遭遇。

これから3泊するロッジ。キッチンと調理道具一式がついており、毎日自炊することになる。周囲は典型的なサバンナである。

マカロニとソーセージで腹ごしらえを済ませ、夕方から敷地内を歩き回って虫を探す。薄暗くなると、地中に潜んでいた虫たちがぽつぽつと地表に現れはじめる。

一番多かったゴミダマ、Psammodes vialis。この仲間はアフリカではトックトッキー(Tok-tokkies)という愛称で呼ばれている。オスは腹を地面に打ちつけて音を出し、仲間と交信する。この虫はロッジに拉致してきて、しばらくの間飼育してみた。飛んで逃げる心配がないので、プラスチックのどんぶりが飼育容器だ。たまに腹をこつこつと鳴らすのが面白い。そして大食漢である。水をあげるとごくごく飲み、パンをあげるとびっくりするほどよく食べる。ペット昆虫として優秀だが持ち帰ることはできず、日本では飼えないのが残念だ。

カッコいいアンティア(オサモドキゴミムシ)の一種。日本のオサムシより一回り以上大きく、発達した大顎と相まってすごい迫力だ。

ド派手なバッタ。いかにも毒をもっていそうな色合いである。

糞玉を転がすスカラベも見た。糞虫も大好きなので、感激もひとしお。

宿のテラスに水銀灯をぶら下げ、虫を呼ぶ。

アリノスハナムグリの一種が来た!
文献によると、マンティコラは降雨の後に現れるという。ここ数日は雨が降っていなさそうだし、実際どこもかしこもカラカラである。
結局10時過ぎまでサバンナをうろつき、もろもろ片づけて寝たのは12時くらい。それなりに粘ったものの、結局マンティコラには出会えなかった。しかし初めてのアフリカとあって、見る虫すべてに興奮しっぱなしだった。体力が無限にあるなら一晩中歩きたいものだ。
1月27日(日)
この時期のナミビアは雨季の真っ只中である。
雨季というと雨がしじゅう降ってばかりの天気を想像されるかもしれないが、実際はそうでもない。ナミビアの雨季は、数時間大雨の降る日が時々あり、あとは晴れているというのが普通らしい。そしてまとまった雨の後は虫が急に活動的になる。マンティコラが出てくるのもそんな時、それも夜間だという。そのため、我々は雨を待ち望んでいるわけである。
さて、朝の涼しいうちにロッジの周りを散歩する。我々の泊まっている棟のすぐ裏手に、こんな可愛らしいリクガメがいた。はじめは石か何かかと思った。

ノコヘリヤブガメというらしい。可愛い。飼いたい。もちろん連れて帰るわけにはいかないが。
アカシアには大きくて派手なゲンセイがいた。時おり大きな羽音をたてて飛んでいる。飛んでいるときは腹部の赤い紋が見えて美しい。


敷地内にもいたオリッサ。
しかし、暑い日中はあまり虫が活動しておらず、目につくものはそれほど多くない。
夜はソーセージを焼き、パスタとともに食べた。
ソーセージはスーパーで生のものを売っており、血も混ぜてあるのか実に美味しい。種類も豊富である。日本で食べるソーセージよりも脂は少なめで、噛むほどに肉そのものの味が楽しめる。これには感激した。ナミビアはかつてドイツ領だった事情があるためか、ビールもソーセージも美味しいのが素晴らしい。



丸山シェフ。
夜はサバンナの中をうろつき、アンティアを探した。彼らはブッシュの近くによくいる。種によって大きさや模様もさまざまで、眺めていてとても楽しい。

よく見ると、そこそこの確率でツチハンミョウの幼虫がついている。ツチハンミョウは寄生性の昆虫で、孵化した幼虫はホストを目指し、動く虫になら手当たり次第に便乗しようとする。しかし目的の虫に辿りつける個体はごくわずかでしかない。上のアンティアも鞘翅に一匹幼虫を乗せているが、この時点で幼虫の運命は決まってしまったと言える。



アンティアは驚くと怪しい液体を噴射してくる。この液体が強烈で、臭い上に皮膚につくと火傷をしたようになる。触るときには必ず手袋をしていたのだが、液が浸みこんできた部分は皮膚がただれて剥けてしまった。また、この防御液はかなりの勢いで噴射されることがあり、まともに顔に浴びてしまった時はかなり焦った。眼鏡をかけていたので事なきを得たが、目に入っていたらひどいことになっていただろう。
結局、今日も雨は降らなかった。しかし天気予報によると、明日は雷雨があるとのことで、期待がもてる。
1月28日(月)
朝から快晴。風が強い。暑い日中に歩いたがあまり得るものがなく、夜に備えてロッジでだらだらすることに。
筒井さんはドローンを持ってきており、飛ばしてみせてくれた。

こういう写真が撮れる! すごい。
夕方から街に出て買い物。ビール、ソーセージ、ツルハシなどを買い込んだ。

ロッジに帰るころには稲光とともにポツリポツリと雨が降り出し、待ちに待った夕立となった。地面が濡れたことで、夜のサバンナに明らかな変化が起きた。どこに隠れていたのかと思えるほど、たくさんのトックトッキーが地表に現れた。筒井さんが巨大で恐ろしげな姿のコオロギを発見したが、こいつを見たのは雨上がりのこの時だけであった。

今夜は少し離れた池の跡地に向かうことにした。
時おり立ちはだかる動物よけのフェンスをまたぐ必要があったのだが、これには電気が通っていることがじきに判明した。ときどき通電されてビリッとくるのである。大仁田厚には効かないかもしれないが、それでも痛いものは痛い。丸山さんは手袋をしていなかったので辛い思いをしたようだ。私はゴム張りの軍手をしていたのでダメージは少なかったが、うっかり針金に触れた足がしびれて悲鳴をあげてしまった。良い子は真似をしないように。
ここもアンティアの多様性が高く面白い。初見の種が次々に現れてやみつきになる。3人で適度な距離を保ちつつ、めいめいヘッドランプで周囲を照らしながら歩き回った。

その時である。丸山さんが闇の中から血相を変えて走ってきた。緊張が走る。
「どうしました!?」
「馬! 馬が追いかけてくる!!」
そう叫びながら、丸山さんはすごいスピードで走り去っていった。馬から逃げていたのだった。でかい馬がいななきながら突進してくるのはかなり怖く、実際危険である。後で私も同じ目に遭い、肝をつぶした。

(ちょっと前に流行ったアプリで作成)
幸い丸山さんが馬に蹴飛ばされることはなかったが、逃げる途中でスマホを失くしてしまったという。走っている時にポケットから落ちたに違いない。皆で現場に戻って探しまわり、なんとか回収。見つかって本当によかった。
気を取り直し、闇に潜む動物の気配に注意しつつ、ヘッドランプの明かりで虫を探し続ける。

巨大なヤスデがたくさんいた。恐ろしげな見た目だが、取りたてて危険なところはない平和な生きものである。葉っぱをもぐもぐと食べる様子が可愛い。

ヒヨケムシの一種。猛烈なスピードで地表を走り回る。もうめちゃくちゃにカッコいい。

美しいヒキガエル。

大きなサソリ。尾が太く、この類は総じて毒性が強い。驚いたことに、このサソリは尾をじゃらじゃらと鳴らして威嚇してきた。まるでガラガラヘビのようだ。
サバンナの恐ろしいところは、方角が分からなくなることだった。まっすぐ歩いているつもりでも、知らず知らずのうちに同じところをぐるぐると回ってしまっており、少し前に通った場所に出て愕然とするのだ。これには実際ぞっとした。風景が単調で、明かりや目印になるものが何もないからである。今回は全員がmaps.meという地図アプリを使っていたので完全に迷うことはなかったが、GPSなしに夜のサバンナに入ってはならないと学んだ。
宿に帰ってきた時点で1時になっていた。筒井さんのアプリによると、12kmほど歩いたようだ。風が強く、ライトにはあまり虫が来ていない。その後軽く飲み、3時には皆寝たが、私はライトの前に残ってしつこく待った。
Gynanisa majaという、美しい目玉模様のヤママユが飛んできた。

そしてついに、皆が寝静まった後、ライオンコガネとヒゲブトオサムシが飛来した。

もふもふだー!! 一人で歓声をあげた。
1月29日(火)
朝は寝坊を決め込み、午後まで昼寝や日記書きをしてだらだらと過ごす。日中はあまり昆虫が活動していないため、暑い中頑張るよりも、夜に備えて体力を蓄えておいた方がよさそうだ。
好白蟻性の昆虫を調べるべくシロアリ塚に挑んだが、収穫はまったくなかった。シロアリすら出なかった。塚はガチガチに堅く、これを突き崩すのはかなりしんどい。そもそもツルハシが相当に重く、箸より重い物を持てない身としてはすごい苦行である。
この後の筋肉痛はひどかった。次は現地の屈強な男を雇おうということで、全員の意見が一致した。
地面をよく見てみると、明らかに怪しい穴がいくつも空いている。大きくきれいな円形で、周りに土盛りはない。ハンミョウの巣穴の特徴である。これは絶対にマンティコラの巣穴だろうと推測し、発掘にかかる。


そして出た!

マンティコラの幼虫を発見!

すごい顔をしている。ある意味、成虫よりも貴重かもしれない。筒井さんも近くで一頭掘り出した。
周辺をよく探すと、他にもいくつか小さな巣穴があった。さまざまな齢期の幼虫が混在しているようだ。餌資源も不安定だろうし、成虫になるまでにはかなりの期間を要すると思われる。
夜は例によってロッジの周辺を散策した。これは小さな石ころのようなゴミムシダマシ。とても可愛いが、この一個体しか見つからなかった。

22時30分に宿に帰ったが、ライトには全然虫がきていなかった。そして今夜もマンティコラの姿は拝めなかった。彼らが活動するには雨が足りないのだろうか。
ライトトラップもいまいちかと思いきや、まだ暗い5時過ぎにそっと起きだしてみて驚いた。ライオンコガネが次々に飛来するのだ。彼らはどうやら明け方に飛ぶらしい。あのもふもふは気温の低い時間帯に適応しているためかもしれない(後で調べてみると、過去にそういう研究もされていた)。しかし、よく見ると毛が擦れてハゲているものや、前脚が摩耗している個体が多かった。発生末期のようだ。
6時20分、明るくなったのでロッジに戻って二度寝。
ナミビア旅行記(3)へ続く。
丸山さんも旅行記を同時公開中です。こちらからお読みください。