昆虫、特に甲虫を中心とした生き物ブログ。ビーチコーミングやガラスびん収集についても書いています。
by isohaetori
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ナミビア旅行記(6) 北部へ転戦
2月7日(木)
朝起きたら、ずいぶん楽になっていた。測ってみるとバッチリ平熱。やっと治った。しかしこの程度で済んでよかったと思うべきだろう。丸山さんと白川さんには心配をかけてしまい本当に申し訳ない。
三日間お世話になった(ほぼ寝ていた)ロッジをチェックアウトし、いざ北部のツメブ方面へ。行きがけに最寄りの海岸でモモイロペリカンを見た。
丸山さんの優しさにより、最後にもう一度キリアツメ探しに挑戦しようということになった。ずっと寝込んでいた私のために時間を作って頂き、ありがたい限り。
そういうわけで、朝のうちに目ぼしいポイントに立ち寄ってもらった。しかしうまくいかないもので、キリアツメどころか他の虫の姿すら見当たらなかった。よほど気象条件の整った時でないと現れないのだろう。これは仕方ないね…という判断を下し、改めて北部へ移動することにした。残念だけれど、虫探しは狙い通りにゆかないことも多いのだ。
ここからは宿も決まっていない、行き当たりばったりの旅である。 私はとりあえずオカハンジャまでを担当し、4時間ほど運転した。長距離の運転にも慣れてきたし、どこへ行っても景色が良いので運転は苦にならない。
道中で検索して見つけた宿はなかなかよかった。ロッジではなく、頑丈な軍用テントみたいなのに泊まるのである。しかしちゃんとベッドもあり、しかも安い。地面を見るとそこらじゅうに穴が開いており、虫が多いのが一目でわかった。植生が豊富で、直前に雨が降ったらしいのも好条件だ。
夕食の後、車から電気を引いてライト点灯。スカラベがたくさん飛んできた。
憧れだったゾウゴミムシダマシ。重戦車のようないかめしい姿で、しかも大きい。めちゃくちゃカッコいい。
立派なナンバンダイコクがいた。
好蟻性のミツギリゾウムシ。
巨大なヤモリ。ものすごく迷惑そうにしていた。
テントの前でメンフクロウに出くわした。私がテントを出た瞬間、翼を広げてこちらへ飛んできたところを鉢合わせしたのである。お互い気がついたのがほぼ同時で、「あっ、やべっ」という感じで慌ててUターンするメンフクロウが可愛かった。メレ山メレ子さんが書いていた通り、正面顔が完全に源氏パイだった。しかし一瞬のことだったので写真はない…。
夜の虫探しは楽しいのだが、私は病み上がりでもあるし、翌日の移動のことも考えて早めに寝た。
2月8日(金)
朝5時30分に目が覚め、トイレの灯りをチェックする。まったく大したことのない灯りなのだが、光の波長が適しているのか、ここだけ細かい甲虫がたくさん落ちている。
薄毛のライオンコガネといった風情のコガネムシがいた。地面に怪しい土盛りがいくつもあり、そこをほじくると出てくる。
そしてついに! テントのすぐ横にマンティコラが現れた!
ついにやった! この旅の目的のひとつ、正真正銘のマンティコラである。ちなみにこの個体はメス。
そこから慌てて周囲を探すが、結局他の個体は見つからなかった。
ピカピカのフンコロガシ、Garettaの一種が糞球を転がしていた。いかにも不器用だが一生懸命という感じで、見ているこちらもつい力が入ってしまう。
虫の多い環境に後ろ髪を引かれつつ、200kmほど移動して次の宿へ。ここの敷地にはコサイチョウの一種がたくさんいた。実に美しい鳥だ。
夜は部屋から延長コードを伸ばし、テラスでライトトラップを行った。蒸し暑い好条件で、ものすごい数の虫が飛来した。
変わったコガネムシ、キロン(Chiron sp.)も飛んできたので狂喜した。こいつは小さいが大顎が発達しており、体はヒョウタンゴミムシを小型にしたような変てこなコガネムシである。アフリカやマダガスカルを中心に少数の種が分布し、ごく一部のコガネオタクには人気がある(と思う)。
この日はガも多かった。美しい大型のヤママユが多数飛来したが、虫を見て回るのに夢中で、この日はあまり写真を撮っていない。
2月9日(土)
朝食の後ロッジ周辺を見回り。しかし環境は悪くなさそうなのに、不思議と虫が見つからない。私の目が悪いのだろうかと落ち込みそうになったが、丸山さんや白川さんも苦戦したようだ。何より日差しがきつく、あまり頑張ると熱中症になってしまいそうである。
暑さでばてるとロッジで休憩した。白川さんがニンテンドーswitchを持ってきていたので、合間にマリオカートで遊ぶ。ゲーム会社に勤める白川さんはさすがにうまく、丸山さんも私も簡単にやられてしまう。しかし丸山さんはすっかりハマって腕を上げ、旅の終盤にはかなりの接戦を繰り広げるようになった。
そうこうしているうちに夜になり、ライトトラップの時間である。しかし、昨夜はあれほど虫が来たのに、この夜のライトは成績が悪かった。雨が降って気温が少し低いせいかもしれない。
ロッジの壁にナガイボグモの一種が棲んでいた。科レベルで見たことのないクモなのでとても嬉しい(ナガイボグモ科のクモは、日本では沖縄に行かないと見られない)。
ガの仲間をくるんで食事をしているところ。
2月10日(日)
チェックアウトの日である。鍵を返した後、筒井さんが置いていったドローンを飛ばしてみようということになった。
ところが、丸山さんが操作している時、ドローンが突然コントロール不能に!
「あー!! やばいやばい!」
悲痛な叫び声、そして急降下するドローン。
一同「…………」
石垣にぶつかる嫌な音が響き、筒井さんの高価なドローンは壊れてしまった。ローターは回転するのだが、離陸ができない。
「これ、結構高いんだよね?」
「確か10万円くらい…」
筒井さん、本当にごめんなさい。
やっちゃった感を車内に満たしつつ、さらに100kmほど北へ移動する。次こそがマンティコラの本命ポイントである。
ナミビア旅行記(7)へと続く。
丸山さんも旅行記を同時公開中! こちらからどうぞ。
by isohaetori
| 2019-07-17 17:24
| 昆虫採集・観察(陸)